そこは、結界に囲まれし魔界の如き、或いは異次元の狭間なる空間、はたまた淑女たち奥様方の秘密の集いの場なるや。 昔むかしジャケ買いの誘惑に時折駆られるがごとき、「奥三界岳」という名のみに心躍らせ遠征の決断を下した山なり。
仏教にて語られる三界とは、欲界・色界・無色界の三つの世界を指し、衆生が生死を繰り返し輪廻する世界をこれに区別するものなり(Wikiより)。
俗世に浸りきった我が身、龍神滝の無人の静寂と、龍神様の神社にて祈りを捧げるも、不安の霧に覆われつつ山に足を踏み入れん。
そこは、魑魅魍魎たちも声を潜めるほどの静けさに満ち深緑と新緑が織りなす静謐な深淵、滝の流れと渓谷のささやきが紡ぐ水の旋律に身を任せた至高の自然空間であった。頂上に近き所にてミズバショウの大群に出会い、その美しさに感動せざるを得ず。 熊の影も見ず、山の頂にて木曽御嶽山の威光の下、木彫りのクマと対面し敬意を表して挨拶を交わす。
魔界と龍神の領域を辞し、下界の最後の試練である栗の郷中津川にて挑戦を受け、巨きなるモンブランを制覇せり。
勝利の余韻に浸りつつ、凱旋の道を歩みし帰路についた。
(by Dora)
下山後の温泉は、かたらいの里
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